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今まではお客様のカメラの修理の合間に、自分のカメラの修理の様子を紹介して来ましたが、なかなか時間がとれず、手持ちのカメラも底をついて来ました。
そこで今回はお客様の了承を得て、ライカⅢfのオーバーホールの様子を紹介させて頂きます。

3月8日に修理完了した、高橋様のライカⅢfです。
以前に紹介した、ライカⅢbと内部を比較するとバルナック型がⅢc以降で大きく変わった事がよくわかります。
今回も長くなりますが、最後までお付き合いよろしくお願いします。

上カバーとハウジングを取った状態です。
しっかりした、ダイキャストに主要なパーツが組み付けられてます。
この辺がⅢb以前のバルナックと大きく違います。

Ⅲbって?て方はこちら→ライカⅢbのオーバーホールの様子

オーバーホールですので、気持ちよくバラバラにします。
一つずつのパーツを清掃をしながら、グリスアップをして組み立てるには、こうするのが一番やりやすいからです。
こうして見るとバルナックⅢfの精密な感じは、本体がしっかりしているからだと感じますね。
私自身は、所有しているⅢbやⅢaの感触も大好きです。
この個体はグリスがかなり切れていましたので、少しやつれた感じに見えますが、その辺はしっかり修理していきます。
巻き上げ軸がグリス切れで動きがひどく悪くなっていました。
修理依頼時のご指定も巻上げがひどく重いとのことでした。
スムーズな巻上げの為には、この部分の清掃と調整は欠かせません。
シャッター幕軸内部のスプリングですが、グリスが劣化して白く浮いてしまってます。
清掃して、新しいグリスを塗ります。

こんな感じで丁寧に一つずつのパーツを仕上げて、組み付けていきます。
ライカⅢfの精密感を使用したときに感じる為には、手抜きは駄目です!

先幕の走行をスムーズに収める為のブレーキも不調でしたので、調整します。
Ⅲfの軸には、動きをよくする為のスチールボールが入っています。
Ⅲfのスローガバナーです。
Ⅲbの場合はギヤが戻り方向は空回りすることで、ガバナーをスタート位置に早く戻していましたが、Ⅲfは黒いレバーの部分を押すことでアンクル(ガバナー下側、黒マイナスビスの下の「凹」のような形の部分)がフリーになり、早くスタート位置に戻る様になってます。
機構は複雑になってますが、故障はこちらの方が少ないです。

ここもしっかり、清掃調整をします。

シャッター幕も張れたので。って、いつ張ったんだと言われそうですが、、、写真を撮るのを忘れてました。
すみません。

そんな訳ですが、シャッタースピード調整をします。
後で上カバーをつけてからもう一度、調整をしなければいけませんが、ここで精度をちゃんと出しておきます。

ファインダーブロックを清掃し、ハーフミラーを交換をします。

ファインダーが完成したら、ボディーに組み付けます。
もう完成間近です。

上カバーです。
バルナックはシャッターダイヤルの下に、ストロボを同調させる為のダイヤルがあります。
この下の部分の絶縁の為のシートが劣化していると、ストロボが同調しません。
新しい物に張替えます。
巻き上げダイヤルの窓が黄ばんで文字が見にくくなっていますので、張替えます。
巻き上げダイヤルの中だけで、こんなに部品があるんですから、、、バルナックⅢf、、、お金かけて製造されてます!!
気持ちよく見えるようになりました。
上カバーをつけて、シャッタースピードの調整をします。
ハウジングを付け、フランジバックを点検します。
狂っていませんので楽です。
コリメーターを使って距離計を調整します。
ハーフミラーを張替えてますので、良く見えます。
最後に、底蓋の開閉ノブの動きを調整します。
硬いと指が痛くなってしまいますが、ゆるすぎると誤作動の元ですので、適度な重さになるように動きを調整します。

これで、「ライカⅢf」オーバーホール完了です。

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