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2008年も残りわずかです!
寒くてカメラを持って出にくい季節は、家で手持ちのカメラを順番に動かして、春にむけて機械を馴染ませておきましょう!!

では、今回は川崎市にお住まいのTさんの「ニコンS」の修理を紹介致します。
「いつかは欲しいニコンS」 なんとも語呂がいいですね。

ニコンSです。
カッコいいですね!

シャッター幕が劣化してシャッターが切れない状態です。
ファインダーも曇っている上に、距離計ヘリコイドがグリス切れでピントあわせが困難なぐらい動きが悪いです。

その問題のシャッター幕をマウント越しに見てみましょう。

ひび割れが見えます。

後ろ側からですと、劣化してぼろぼろと剥がれています。

底はバルナック、キャノン、レオタックス、ニッカなどのLマウントのカメラと大体同じような感じです。
修理は分解しなければ始まりません。

もちろん分解前に不具合箇所をあらかじめ確認をする必要はあるのですが、オーバーホールの場合は調整しながら組み立てますので、どんどん分解しても問題ありません。

シャッタースプリングドラムの内部ですが、油っけが全く無くなっており、サビが浮いてしまってます。
サビを落としてから、グリスを塗ります。
これはグリスを塗る前の画像です。

綺麗になってますね。

カメラ修理の基本は「気持ちのいい状態にする」です。

シャッタドラムのグリスアップの次は、巻き上げ、巻き戻しの清掃です。

古いグリスは真っ黒けになっています。
グリスが古くなったまま使いますと、鉄粉を含んできますので、感触がどんどん悪くなってきます。

カメラの為にも良くありません。

新しいシャッター幕に張り替える準備が整いました。

修理は掃除をしながら、ここまで来るのが大変です。
ても古いグリスで真っ黒になってしまいます。

後は組み立てるだけです。

シャッター幕を張った状態です。

まだまだ、スカスカっと向こう側が見えてます。

これは、「Rレバー」の軸なのですが、こんなところにもヘリコイドがあります。
バルナックの「Rレバー」はグッググって感じですが、ニコンSの「Rレバー」が気持ちよく動くのは、こんな理由があったのです。
過剰な仕組みといった気もしますが、「Rレバーひとつをとっても気持ちよく。」そんな感じでしょうか。
遮光など、大体の部品を付けた状態です。

随分、さまになってきました。
スカスカじゃ寂しいですからね。

ニコンSのスローガバナーです。

感触が悪くなっている、距離計ヘリコイドです。

ヘリコイド自体が、距離計ダイヤルと連動するギヤになっているため、グリス切れをおこしますとザラザラとした感触になりやすい部分ですが、「グリス変えろよ!」と教えてくれていると思うと、親切な気がします。

ここでシャッターの調整を簡単にしておきます。

グリスが馴染むとまた精度がかわりますので、今は簡単に。

ファインダーブロックです。

シンプルでわかりやすい構造です。

シンプルと思いきや、実はプリズムが三つも使われてるんですね。

長いプリズムと三角のプリズムの隙間が曇っていますので、土台から剥がさなければなりません。

ガラスを触る時はいつになっても慎重に!

清掃した、ファインダーブロックを取り付けます。
シャッターの精度を調整したあと、ストロボの同調をチェックします。

ニコンSは特殊なシンクロ接点です。アダプターがありませんので、直接配線でつないでシンクロさせます。

今回はもともと狂っていなかった様で、調整なしで一発OKでした。

修理も大詰めです。

裏蓋の開閉ノブのグリスを入れ替えます。
古いグリスはすでにかすかすになっていました。

なんかさっぱりした様にみえませんか?

あるお客様が修理後お手元に届いたカメラをみて、「いいお湯だった。」と言っている様に見えるとおっしゃいましたが、本当にそう見えて来ます。

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