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今回は、先日修理させて頂いた、波間様のM3のオーバーホールの様子を紹介します。
M3についての説明は不要なぐらい、有名なカメラです。
詳しくカメラ紹介をして、間違えていたら恥ずかしいので、やめておきます^^;
私より詳しい人は、山ほどいますので、、、

では、長くなりますが最後までお付き合いよろしくお願いします。

今回の修理は画像をご覧いただければ一目瞭然ですが、シャッター幕破損の為、シャッター幕交換とオーバーホールです。
使用していて、こんな状態になってしまった時、オーナーの方はどんな気持ちになるのでしょうか、、、

私だったら泣いてしまいます、、、多分。

上カバーと、ハウジングを取り除いた状態です。

幕の状態がよく分かります。
シャッター幕金具から、幕本体が剥がれてしまっています。

上カバー、ハウジング、ファインダー、セルフ、遮光、スローガバナーまで外した状態の全体像です。
まだまだ分解途中ですが、すでに部品点数がかなり多くなって来ています。
バルナックの比ではありません。
巻き上げ部の分解清掃です。

M3の巻き上げの調子は手で持っている、この部品が全てです。
この部品が調子が悪いと、巻き上げレバーが滑ってしまいます。
グリスが劣化して白くなっています。

しっかりと清掃をして、適切なグリスを入れながら組み立てます。
巻き上げにかっちり感が戻りました。

次に、スプール軸の分解清掃です。

ここの動きが悪いと、巻き上げや巻き戻しが重くなってしまいます。

この小さな箇所でも、こんな沢山のパーツで構成されてます。

M型はひとつひとつの仕組みへのこだわり方がすごいです。

シャッターブレーキ部分です。

M3のシャッターが静かなのは、この部品のおかげです。
シャッター幕の走り終わりで衝撃を緩和しています。

調子がいいM3は本当にシャッター音が静かです。
ブレーキの調整が悪かったり、グリスが劣化していると、音が大きくなってしまいます。

ここまでやっていよいよ、シャッターの張替えにかかります。

まずはシャッタードラムを外します。

シャッタードラムを外しますと、もう一つブレーキ部品があります。
分解清掃をしておきます。

M型のシャッター音を小さくする事へのこだわりは、凄い!

スローを制御している、スローガバナー。

M型は部品が詰まっています。
バルナックのスローガバナーは四角い形でしたが、M型は狭い隙間に入っていますので、こんな形をしています。

シャッター幕が走る力を生み出している、スプリングドラムの中です。

グリスが劣化して白くなってしまっています。
こうなると、シャッター精度も悪くなります。

もちろん清掃して、グリスを入れ替えます。

巻き戻しノブの軸も綺麗にして、新しいグリスを入れます。
上記のパーツを組み付けて、シャッター幕を張ります。

いつもの事ですが、シャッターを張っている最中の画像が無く申し訳有りません。
お客様のカメラを修理していますので、精度に直接影響があるシャッター幕を張っている時は、張りながら、撮りながらと言う訳にはいきません。

普段はおちゃらけているこんな私ですが、真剣に修理しています、、、^^;

ここで一旦、大まかなシャッター調整をします。

画像は無いですが、上カバーをつける直前にもう一度調整をします。

マウントからフィルムまでの距離が適正か、フランジバックを点検調整します。

では、ファインダーの清掃です。

画像はファインダー枠の表示をしている部品を清掃しているところです。

M3の場合は50mm、90mm、135mmのレンズ用のファインダー枠が内蔵されています。
一番大きな50mmの枠は常に出ています。
丁度、右手中指の爪が被っている所の部品がスライドして、90mmと135mmの枠を出したり隠したりします。

距離計を調整した後、パララックス補正の調整をします。

壁に張ってあるチャートが、同じようにカメラ後部のアパチャーから見えているのが分かりますでしょうか?
ファインダーを覗いた時に見える範囲と、実際にフィルムに写る範囲を同じにする為に欠かせない作業です。

仕上げのシャッター調整。
底カバーの開閉ノブのグリスアップ。

やることが沢山あり書ききれませんが、上カバーを付け修理完了です。

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