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今回は2008年6月にシャッター巻上げ不具合のオーバーホールで森本様がらご依頼をいただいた、レチナⅢcのオーバーホールを紹介します。

レチナⅢcです。
いいですね!

レンズを収納すればコンパクトになる上、距離計や露出計も付いていますので、気軽に持ち歩ける一台です。
修理しながら「このカメラいいなー!」と何度も思ってしまいました。

この個体は残念ながらシャッターが切れなくなっています。
露出計も動いていません。

上カバーを外したところです。
内部はシンプルで分かりやすい構造。

ファインダーが曇っていますので、後で清掃します。

ざっくりと分解したところです。

上段左・・・ファインダーブロック、上カバー

上段中・・・露出計

上段右・・・底カバー

中段中・・・レンズ、シャッターユニット

中段左端・・・ヘリコイド

蛇腹の付け根は接着が剥がれている事があります。
弱そうな部分や剥がれがあれば、補修します。
レンズを引き出した時に引っかかりを感じますと、気持ちが悪いものです。
レンズ引き出し時や収納時にスライドするレールを清掃し、グリスアップします。

ヘリコイドです。
古いグリスを綺麗に取り除き、新しいグリスに入れ替えます。

手が真っ黒になるくらい、汚れています。

巻き上げ部を分解清掃します。
スムーズな巻上げの為には、欠かせません。
古くなったグリスに、フィルムのカスが付着していました。
これはちょっと多めですが、、、

巻き上げ不具合の原因になりますので、丁寧に取り除きます。

本体側が終わりましたら、いよいよシャッターユニットにかかります。
スローガバナーを外しますと、下地に油がにじんでいました。
この油がシャッター羽根や絞り羽根にまわって、シャッター不具合の原因になります。

特に絞り羽根に油がまわりますと、羽根同士がくっついて絞りの動きが非常に重くなります。
その状態で無理に絞りを動かしますと、絞り羽根の破損につながりますので、注意して下さい。

シャッター羽根も同様です。
レンズシャッター機のシャッターの不具合の大半が、この油の滲みです。

細かな部品ですが根気よく余分な油や、古くなったグリスを取り除き、当たらしいグリスを適量塗ります。
画像では分かり難いのですが、シャッター羽根と絞り羽根に油がまわってしまいギラギラしています。
絞り羽根の形はカメラによって様々で面白いですね。

一枚ずつ付着している油を清掃してから、組み直します。

絞り羽根、シャッター羽根を綺麗に清掃し組み付けた後は、レンズを清掃しながら組み付けます。
クモリで非常に見え難くなっていたファインダーも、清掃をしてすっきりします。

レンズ、シャッターユニットを組み付け後、シャッター精度と距離計を調整して完成と言いたいところですが、この個体は露出計を制御しているセレン板が劣化していました。

当店のリコーオートハーフの修理でも紹介している、太陽電池を使って露出計を生き返らせます。

左が元のセレン板
右が今回使用する太陽電池です。

太陽電池を使用しての代替修理は、いい精度を出すのに苦労するのですが、今回のレチナⅢcは思いのほか簡単に精度がでました。そういう時は思わずガッツポーズが出ます!

露出計の精度も出し、オーバーホール完了です。
一枚目の写真となんら変わって無い様な写真ですが、スッキリと綺麗になっているのです。
もちろん動きは別物です。

相変わらず、「途中の修理画像が抜け過ぎだ!」との意見もありそうですが、、、最後までお読みいただき有難うございました。

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