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今回は、2009年4月に修理をお受けした、中條様のローライフレックスの修理の様子を紹介致します。
これはオートマットⅠ型でしょうか、状態はかなり悪く、ファインダーミラーを2枚交換する、オーバーホールでの修理になりました。
オートマットの名前の由来の通り、フィルムのスタート位置を自動で出してくれるはずが、巻き上げに不具合があり、フィルムを入れると最後までノンストップで巻き切ってしまいました。

ローライフレックス・オートマットⅠ型です。
古い雰囲気が良い味を出していますが、不具合があちらこちらに顔を出し、操作感は有り難くない雰囲気を出しています。

大まかに分解します。
二眼レフはすることが多くて、どこから手をつけようか悩みます。
やはり最初は、レンズシャッター部から行きましょう!

後ろから見ますと、絞りに油がまわっているのが見えます。
絞りの動きが重いのは、可動部のグリス切れもありますが、絞り羽根に油がまわっている場合もあります。
丁度、濡れたガラスを合わせると貼りついて動かない様な感じで、絞り羽根もくっついてしまいます。
羽根の破損の原因になりますので、清掃が必要です。

前から見ますと、シャッター機構が見えます。
セルフタイマーがレンズシャッター部に付いていませんので、シンプルです。
「シャッター部」と「絞り部」を分解したところです。
シャッターの余分な油が、絞り羽根やシャッター羽根にまわり、不具合を引き起こします。
清掃して、適量な量のグリスに入れ替えます。
隅々まで、清掃します。
シャッター羽根

一枚ずつ清掃して、取り付けましょう。

次に絞り部を分解します。
随分長い間使ってなかったとの事です。
劣化して固くなったグリスで、動きが重くなっています。

シャッター羽根と同様、絞り羽根も一枚ずつ油をふき取りる必要があります。

清掃が終わり、組み付けた所です。

横にはずれているのは、スローガバナーです。
薬品で洗浄して、新しいオイルをつけます。

ガバナーがつきましたら、シャッター精度の調整を行います。

次はレンズの清掃にかかります。

前玉のブロックですが、曇りと埃でくすんでいます。

綺麗になりましたか?
これはビューレンズです。
前玉に少しすれた傷がありますが、ほとんど問題のないレベルですね。

ビューレンズの横がセルフタイマーです。

修理前はセルフが止まり気味でしたので、洗浄して油を差します。
前板の裏側です。

シャッターダイヤルが空回りしていました。左側に見えているギヤは絞りダイヤルのギヤですが、プレートの下右側にシャッターダイヤルのギヤがあります。
そのギヤのかみ合わせが悪いようで、滑ってしまってます。

この部分だけでも、こんなにリング状の部品が使われているんですね!

適当に置くと順番を忘れるんではないかと、心配になります。
無事、順番を忘れることなく組み上げますと、スムーズな操作感がご褒美に待ってます!

ピントあわせのレンズの繰り出しが重くなっていましたので、可動部のグリスも入れ替えます。

こちらは、距離計ダイヤル側の側面を開けたところです。
シンプル構造で安心できますね!

大ボスは反対側の巻上げノブ側ですから、、、

ローライ自慢のオートマット機構が組み込まれた巻き上げ部がこちらです。
この下にグリスアップの必要な、上の画像と対称となるレンズ繰り出しの機構が埋もれています。

フィルムの厚みを感知する調整など、分解後は楽しめますよ!

やっと、グリスアップ出来る状態までやって来ました。

沢山の部品に囲まれて、幸せそうですね、、、

続きまして、ファイダーのミラーが腐食していましたので、交換しましょう。

曇りで、ほとんど見えません。
一部剥がれているのが、見えます。

手に持っている古いミラーは、曇りガラスの様ですね。
撮影している手が写っています。
二眼レフは蓋をパカリと開け、透視型のファインダーによって、顔を正面にしたまま被写体を見ることができる、スポーツファインダーが付いていますが、この時代のローライフレックスは、透過型ではなく、ファインダーフードにもミラーが組み込まれていて、正面を向いたままファインダーを見ることができる様に、レバーでミラーが下向きに45度の角度で出てくる仕組みなっています。

機構は凝っていますが、そのミラーも腐食してしまっていますので、交換します。

レンズやミラーを本体に戻して、ピント調整をします。

やっとここまできましたね。

前板をつけ、レザーを貼って、完成です!
お疲れ様でした!

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